大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和63年(ラ)650号 決定

公証人法三七条三項は、証書に数量、年月日及び番号を記載するには壱弐参拾の字を用いなければならないと定めているが、右規定の趣旨は、証書の記載内容を明確にして、疑義や改竄が生じるのを未然に防止することにあるから、この規定の趣旨に鑑みると、記載内容につき疑義や改竄の生ずるおそれのないものであれば、右規定の字を用いないで作成されたものであっても、そのことの故をもって当然に無効とする理由はないというべきである。これを本件についてみると、本件公正証書中には、「販売会社・立替払代金及び支払方法の表示」及び「自動車の目録」を記載すべき用紙として横書き用のけい紙一枚が編綴使用されており、その用紙には立替払代金額、分割手数料額、返済日、各回の返済金額等がアラビヤ数字を用いて横書きに記載されている。しかしながら、その各記載はいずれも明瞭であって、その字体や配置の関係から疑義や改竄の生ずる余地はないものと認められる。したがって、本件公正証書を、右事項の記載につき公証人法所定の字が用いられていないことを理由に無効とすることはできないといわなければならない。

(枇杷田 喜多村 小林)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!